「すごいんですよ、うちの座長は本当に(笑)」
杉咲花が体現する自然体の芝居
―――前編のインタビューでは、若葉竜也さんが千葉雄大さんのお芝居を絶賛されたというお話を伺いましたが、すごくいいなと思うのは、『アンメット』の現場では、キャスト陣が互いに感化し合って、お互いを高め合う雰囲気が形成されているように思えることです。
「それに関しては、ゲストで出演された方も含めて皆、次のようなことをおっしゃるんですよ。『アンメット』の現場は、すごく穏やかでゆったりとした時間が流れているんだけど、すごく緊張するって。お芝居の怪物と言えるような杉咲さんや若葉くんたちがいて、その中で演技をするのは、やっぱり相当身が引き締まるようです」
―――緊張感がありながら、互いに支え合うようなチーム『アンメット』の雰囲気は、言葉で共有するというより、自然に形成されたのでしょうか?
「そうですね。現場で緊張している人がいると、主に杉咲さんがその人にスッと話しかけに行ってくれて。そうすることで、それまで緊張していた俳優さんは憑き物が落ちたような感じでグッと役に入ってくれるんですよ」
―――そこに関しても杉咲さんが果たした役割は大きいのですね。
「めちゃくちゃ大きいです。最終話には、小春(演・中村里帆)と森(演・山谷花純)がミヤビの手術の知らせを聞くシーンがありますが、短い時間で気持ちを作るのはすごく難しいことなんです。この場面を撮っている時、小春のアップのシーンということもあり杉咲さんが現場を見守っていたのですが、その時も彼女はスッと中村さんのところに行って、ぎゅっと手を握って『うんうん』って頷いて、ただそれだけでスタスタと去っていったんですけど、パッと中村さんの方を見たらポロポロって涙を流して…」
―――すごい…。
「そうなんです! すごいんですよ、うちの座長は本当に(笑)。さらに言うと、『アンメット』の現場では、今お話したようなことが、毎シーンと言ってもいいくらいの頻度で起きていて。こちらとしては、撮っているというよりかは、 “現場で起きることをドキュメントしている”という感覚でしたね」