「神は細部に宿ると、みんな信じて撮影に臨んでいた」
Yuki Saito監督にとっての『アンメット』とは
―――杉咲さんがご自身で日記を書いているということ。手術シーンでは、その場にいるキャスト全員が自分の役割を理解しているということ。さらには、編集作業で実際にやっているようにカモフラージュできる吻合の描写も、杉咲さんと若葉さんが実際にやっているということ。これらのエピソードに通じるのは、『アンメット』では、クロースアップされない、あるいはカメラに映らない部分もしっかり作り込んでいるということだと思います。
「はい、それは大きいと思います。神は細部に宿ると、みんな信じて撮影に臨んでいましたから。例えば、実際に顕微鏡越しに微細なものを注視しようとするから自然と目が見開かれ、緊張で汗も出るわけです」
―――監督は、それを逃さず撮るために集中されるわけですね。前編のインタビューで、現場に向かわれる時に常に緊張感があったとおっしゃっていましたが、今のお話を伺って、そのお気持ちが少しわかった気がします。
「本当にそうです。先ほどの若葉くんのミラクルの話に戻るのですが、テストで出来たからといって、またすぐに出来るワケがないので、何度も撮り直しました。ただ、何度もお話しているように、やり始めたからには最後までやり抜くこのチームだったからこそ、最終的に素晴らしい映像を収めることができた。
若葉くんがプロでも難しいほどの細い糸を本当に繋いだからには、我々も挑戦しなければいけない。そう奮い立つメンバーが揃っていた。本作が多くの方に愛していただけた理由はこれに尽きると思います」
―――最後の質問です。監督にとって『アンメット』とはどのような存在ですか?
「クランクイン前に、若葉くんが『Yukiさんの代表作にしたい』と言ってくれて、凄く嬉しかったんです。スタッフも初期からこの作品が僕の勝負作になると思ってくれていたみたいで、僕自身もそういう作品にしたいと思って挑んできました。
次に自分がやる作品の企画書や予告編に“Yuki Saito『アンメット ある脳外科医の日記』”と書かれたら、対外的にそれが達成できたことになるかと思います。自分にとっては間違いなくベストな作品が出来たと思っていますが、一緒に挑戦してくれた方々、応援してくださった皆さんに感謝しています」
(取材・文:あさかしき)
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