『団地のふたり』が浮き彫りにする50代女性のリアル
リアリティ性、その1は「団地の高齢者住人から若い人扱いをされること」。主人公の太田野枝こと、ノエチ(小泉)も、桜井奈津子こと、なっちゃん(小林)も50代だ。昭和期であれば、初老扱いされている年代なのに、令和の高齢化社会では若手に属するらしい。
団地の先輩(高齢者住人)からは、網戸の張り替えから町内会の仕事まで、すぐに若いふたりにバトンを渡してくる。加えて、ふたりの恋愛事情に干渉して、結婚を勧めてくるパターナリズム(家父長主義)に近い現象も…。
これはど田舎の地元に帰って、母たちと一緒にいると私もよく言われる。
「ねえ、若い人が何を言っているの〜!」
「まだまだ結婚できるわよ〜、若いんだから!」
そりゃ、70〜80代から見たら私もノエチもなっちゃんも、若い。でもそれはマインドだけの問題で40〜50代というのは、体もそこそこガタがきている。ご覧なさい、なっちゃんがノエチのために作る食事を。酒もなく、ほぼ野菜だらけの食卓じゃないですか。