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肩を張りすぎず、程よい脱力を促してくれる鷹野

『無能の鷹』第1話 ©テレビ朝日
『無能の鷹』第1話 ©テレビ朝日

 1話では、鶸田が最初にコンサルティング相手に説明した時には届いていないと感じた言葉でも、鷹野が隣にいる2回目では相手の胸に響いていることが伝わってくるというシーンがある。

 それは、一見優秀そうに見える鷹野が「鶸田は私よりはるかに優秀ですので」と言ったことが起因しているわけだが、自分以外の外的な要素によって結果が180度変わるというのは、社会ではあるあるではないだろうか。だからこそ、自身が持つ能力の過不足と向き合いすぎず、「もう少し気楽に働いてみようよ」と脱力を促してくれるのが本作の魅力となっている。

 社会で生きていると、仕事ができるなと感じる人も、そうでない人もいる。それを見て「あの人にようになりたい」とか、逆に「ああはなりたくない」と思って仕事のモチベーションになることもあるわけだが、鷹野の場合はまるでそこまでの思考には至っていない。

「私が会社を必要としている。会社に必要とされているかどうかは関係ない」と言い放つ姿はいっそすがすがしい。そんな鷹野と比べると、「自分も社会の荒波の中でかなり頑張っているんじゃないか」と自己肯定感さえ高めてくれる。

 ドラマを通して鷹野は私たちに何か重要で、ためになることを教えてくれるのか。また、鷹野は社内ニートから脱却することができるのか。1話から確かな方向性を打ち出し、週末のささやかな楽しみを提供してくれそうだ。

(文・まっつ)
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