親の出世の道具に使われる娘たち
一方、道長は「できれば、俺の目が黒いうちに、敦成様が帝とおなり遊ばすお姿を見たいものだ」と四納言たちに零す。自分の血を引く敦成を次の天皇に、という野望を道長はもはや周囲にも隠さなくなってきた。さらには自身の権勢をより強固なものにするために、道長は次女の妍子(倉沢杏菜)を東宮・居貞親王(木村達成)のもとに嫁がせる。
妍子は奥ゆかしい姉の彰子(見上愛)とは異なり、率直な性格のよう。18歳年上の居貞親王(とは言ってもまだ35歳)を「すら〜っとして凛々しくとも年寄りは年寄りでございます」とぶった斬ったのには笑ってしまったが、「私たちは父上の道具」という言葉には思わずドキッとさせられた。
親の出世の道具にされ、天皇に嫁ぐも不幸な人生を送った姉の詮子(吉田羊)や忯子(井上咲楽)を見て哀れに思っていた道長が今、娘たちに同じことをしている。道長は無自覚でも、娘たち、特に妍子は父親の思いに敏感なのだ。
そんな妍子にまひろは「そのようなお言葉は、ご自身を貶められるだけでございます」と進言するが、彼女もどこかで道長が変わっていくのを不安に思っている。その道長から娘・賢子(南沙良)の裳着に際して祝いの品々を賜るも、相変わらず母娘の関係はギクシャクしていた。