まひろを見守り続けた弟・惟規(高杉真宙)
そうしたまひろの心配事や悩みを察し、寄り添ってくれたのが弟の惟規(高杉真宙)だ。賢子の裳着の儀を無事に終えた夜、惟規は「姉上の裳着の時は、姉上と父上の仲は最悪だったなあ」と振り返る。
当時、母ちはや(国仲涼子)の死の真相を隠蔽した為時に対して不信感を抱いていたまひろ。けれど、大人になるにつれ、父も1人の人間であることを知って、その苦悩を理解できるように。為時もまた娘の意志を尊重するようになり、まひろの宮仕えが決まった時は「おまえが女子であってよかった」と最大級の愛を伝えた。
そんな2人の歩みを客観的に見守ってきた惟規は「親子って変わらないようで変わるんだな」と、娘との関係に悩むまひろをそれとなく励ます言葉をかける。さらには「そういえば左大臣様の姉上への気持ちも変わらないな〜」と、まるでまひろの不安を察したかのように話した。
そして、「きっと、みんなうまくいくよ。よくわからないけど、そんな気がする」と述べた惟規。まひろは「調子のいいことばかり言って」と呆れていたが、誰よりも観察眼に優れた惟規が言うと不思議な安心感があった。
その後、惟規は越後守に任じられた為時を国府まで送ることに。だが、その道中、突如病に倒れてしまう。そのまま越後国府まで運ばれるも、着いた頃にはもう虫の息。
自身の死を察したのか、筆をとる惟規だったが、そこには「都にも 恋しき人の 多かれば なほこのたびは いかむとぞ思ふ(都には恋しい人がたくさんいるので、この旅からは生きて帰りたい)」と自分を奮い立たせる言葉が綴られていた。