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主人公・洸人のリアルな人物像

『ライオンの隠れ家』第1話©TBS
『ライオンの隠れ家』第1話©TBS

 洸人は、とにかく優しい性格だ。働いている市役所のなかを歩くだけでも、コピー機の調子が悪い、ポスターを貼るのを手伝ってくれと声をかけられる。この人なら助けてくれると、みんなから認知されているのだろう。

 ただ、それでも自分たちは自分たちなりに精一杯のなかで暮らしているのだということには自覚的だ。実際、「苦労のない公務員」というお客さんの心ない声や、美路人がライオンを警察に連れて行くことに難色を示したときには胸の内をちらりと覗かせる。ただのお人好しというだけではない、リアルな洸人の人物像が浮かび上がってくるようだった。

 そんな洸人が、自分の親戚かもしれない、居場所のない少年を前にしている。気持ちは大きく揺れ動いたはずだ。美路人との生活を守るためには、このまま警察にライオンを預けるべきなのは間違いない。

 だって、自分たちの生活で手一杯であることは事実だし、本当に愛生の子どもだという確証もない。だけど、恐らくは公務員だからこそ、この子がこの後にどういう道をたどることになるかが想像できてしまう。親元に返されたとき、そこでライオンは安全に暮らせるとは、とても思えない。

 逡巡する洸人を置いて、状況を察知したらしいライオンは1人で警察署へ向かって歩き出す。その後ろ姿をひとしきり眺めたあと、洸人は叫びながら走り出し、ライオンの手首を強く掴んだ。

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