初回から最終回並みの濃さ…深澤辰哉が醸し出す“リアコ感”とは? ドラマ『わたしの宝物』第1話考察レビュー
text by 西本沙織
松本若菜主演のドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)が放送開始した。本作は、「托卵(たくらん)」を題材に、”大切な宝物”を守るために禁断の決断を下した主人公と、その真実に翻弄されていく2人の男性の運命を描く愛憎劇だ。今回は、第1話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
第1話にして最終回並みの濃さ
怒涛の展開に揺さぶられる…。
もしも、夫以外の男性との子どもを妊娠してしまったら。もしも、それが昔愛した人との子どもだったら。このドラマをみたら、自分なりの「if」を考えずにはいられない。
ドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)が、10月17日(木)よりスタート。もう、第1話から衝撃的すぎた…。
描かれるテーマは“托卵”。托卵とは、自分の卵と生まれた雛を他の個体に育てさせる鳥の習性のひとつ。でも、これは鳥に限ったことではなくて。世間には夫以外の男性との子どもを、「夫の子」と偽って育てさせる悪女もいるらしい。
本作の主人公・神崎美羽(松本若菜)は、のちにその悪女となる女性だ。美羽は、夫の宏樹(田中圭)と二人暮らしの専業主婦。彼のモラハラまがいな発言も、口角をキュッと上げて耐え忍んでいる。
無理して笑わなくてもいいのに…とも思うが、本当につらいときこそ明るく振舞ってしまうのが人間。そういった意味では、美羽は一番共感しやすいキャラクターなのかもしれない。
美羽を演じる松本若菜といえば、『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)でポジティブかつ豪快なキャラを好演したばかり。西園寺さんを燦々と輝く太陽と例えるならば、美羽は闇夜に浮かぶ静かな月。
それほど真逆な役柄なのに、まったく違和感がない。松本の役者としてのふり幅に驚かされながら、スルスルと物語に没入してしまう。