教材映像としての本ドラマの役割
命をテーマとした第2話でもうひとつのキーとなっていたのがAED(自動体外式除細動器)の存在。冒頭で牧野らが小学生に向けてAED講習を行っており、物語のラストに啓(岡本望来)は一人でAEDを使わなければならない場面に遭遇する。
そもそもAEDとは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器だ。2004年からは一般市民でも利用できるようになり、病院だけではなく、駅や公共施設などにも設置されている。したがって、そこで働いた経験のある人なら一度はAED講習で扱ったことがあるだろう。
しかし、いざ倒れている人と対峙した時、実際に使うとなったら話は別だ。何からすればいいかわからないし、不安にもなる。ましてや小学生が1人でと考えれば、パニックになるのも当たり前だろう。
そうしたただのAED講習ではわからない現実の焦りや怖さを第2話では余すことなく表現していた。意識確認、人員確保、119番通報、そしてAEDの使用に至るまで特に――AEDを使っている場面に多くの時間が割かれていたことは偶然ではない。
実際にAEDを使ってみると、操作方法を音声でガイドしてくれるため、簡単に使用することができるのだが、ここまで丁寧にドラマとして扱うことで“教材映像”としても大きな意味を持つことだろう。