「白石麻衣のキャスティングは、まさに嬉しい誤算だった」ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』脚本家・武藤将吾インタビュー
火9ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(フジテレビ系)が放送中。今回は、脚本家・武藤将吾にインタビューを敢行。お蔵入り寸前の事件をテーマとした本作について、反町隆史や杉野遥亮、白石麻衣らが演じる個性豊かな「オクラ」のメンバーたちがどのようにして生まれたのか、その裏側についてお話を伺った。(文・タナカシカ)
反町隆史を主役にしたダークヒーロー作品への思い
―――本作は、未解決のまま放置された「お蔵入り事件」をテーマにしていますが、その着想はどのように生まれたのでしょうか?
「はじめは、定年間際の刑事と新米の刑事の世界観にしようとしていましたが、反町隆史さんが演じる“ダークヒーロー”の姿を見てみたいという、私自身の思いがあったので、物語の方向性を再考することになりました。そこで、『未解決事件に挑む』というテーマに、正規の捜査手順に縛られることなく、意図的に“未解決事件”にされたものを、強引に“解決”に持ち込むという設定を採用しました」
―――反町隆史さん演じる飛鷹千寿は、熱血さと緩さが共存しているキャラクターです。なぜ彼を主人公にしたのでしょうか?
「熱血と緩さという要素は、世間が反町さんに抱いているパブリックイメージに近い部分だと感じています。芯の強さなどがある一方で、どこか肩の力が抜けていて、人と自然体で接する姿は、親しみやすさや余裕を感じ、この二面性が反町さんの魅力の1だと思っています。そうしたところから、飛鷹千寿というキャラクターを作りました。反町さんがこの役を演じることで、視聴者は親しみを覚えつつ、物語に没入できるのではと思います」
―――杉野遥亮さんが演じる新米刑事・不破利己は、エリートでありながら、若さゆえの未熟さが感じられるキャラクターです。先ほど、反町さんの役はパブリックイメージに合わせて設定されたとおっしゃいましたが、不破と杉野さんのイメージは異なります。不破というキャラクターを構築する際、どのような点を意識されたのでしょうか?
「杉野さんは、これまで多くの作品で優しくてスマートな役を演じてこられていたので、常に”誠実そう”という印象がありました。しかし本作では、冷静かつ冷徹で、時折感情を排したような振る舞いを見せる、『クールで冷たい雰囲気』を持つ人物を演じています。そんな杉野さんからは想像できない不破のようなキャラクターを演じることで、杉野さんのこれまでのイメージとのギャップを生み出し、新たな一面が見られるのではと楽しみにしています」
―――熱血と緩さの飛鷹千寿、エリートなのに「オクラ入り」した不破利己、元ヤンの結城倫子(白石麻衣)、庁内のサーバーに忍び込んだハッカーである吉岡雷(前田旺志郎)など、「オクラ」のメンバーは非常に個性豊かなキャラクターばかりです。武藤さんが特に思いれのあるキャラクターを教えてください。
「今回、豪華な役者の皆さんに参加いただいていますが、執筆段階ではキャスティングはまだ決まっていませんでした。だから、元ヤンという設定の結城に白石麻衣さんがキャスティングされたと聞き、設定を見直した方が良いのではと、提案をしました。しかし、『元ヤンのままで問題ない』との回答をいただき、そのまま進めることになりました。
実際に白石さんが演じた結城を映像で拝見した際、当初私が想像していた、典型的な元ヤン像とは異なっていて驚きました。白石さんはこのキャラクターに、彼女なりの解釈で柔らかさや奥行きを持たせています。単なるステレオタイプにとどまらない、新しい“元ヤン”像を見事に表現されていたので、まさに嬉しい誤算でした。白石さんに演じていただけて嬉しく思います」
(文・タナカシカ)
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