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このドラマは何年も語り継がれることになる…『海に眠るダイヤモンド』が期待を大きく超えてきたワケ。第1話考察レビュー

text by 苫とり子

神木隆之介主演の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』が放送スタートした。本作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語だ。今回は、第1話のレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

映画『タイタニック』のような導入に胸が躍る…。

『海に眠るダイヤモンド』第1話 ©TBSスパークル/TBS
『海に眠るダイヤモンド』第1話 ©TBSスパークル/TBS

 きっとこのドラマは何年も語り継がれる作品になるだろう。10月20日(日)に満を持して始まった神木隆之介主演の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)。

 本作は、同じくTBSドラマの『アンナチュラル』(2018)、『MIU404』(2020)、そしてその2つと世界観を共有するロングラン上映中の映画『ラストマイル』(2024)を手がけた脚本・野木亜紀子×監督・塚原あゆ子×プロデューサー・新井順子による新作オリジナルドラマだ。

 この最強タッグなら間違いないと確信していたが、第1話はそんな期待を大きく上回る出来でしばらく余韻から抜け出すことができなかった。

 物語は、2018年夏の東京・歌舞伎町でホストをしている玲央(神木隆之介)が、出会ったばかりの婦人・いづみ(宮本信子)に突然プロポーズされるところから始まる。その存在は謎に包まれているが、いづみの金払いの良さに乗じることにした玲央。誘われるがまま長崎を訪れ、いづみと共にフェリーに乗り込むが、軍艦島の名で知られる端島の姿を捉えたところで彼女は突然泣き出すのだった。

 そこから神木は無気力なホストから希望に満ち溢れた青年・鉄平の姿に。フェリーのバルコニーに立ち、「帰ってきたぞー!」と叫ぶ鉄平。彼が見据えるのは、炭鉱島として栄えた1955年春の端島だ。当時は新宿駅ほどの広さしかない場所で4000人以上がひしめき合って暮らしており、先ほどまで廃墟だった端島が一気に色づく。

 まるでヒロイン・ローズ(グロリア・スチュアート)の語りから84年前に遡り、主人公のジャック(レオナルド・ディカプリオ)がタイタニック号に乗り込むシーンで始まる映画『タイタニック』(1997)のような導入に胸が躍った。全盛期だった頃の端島もセットで緻密に再現されており、制作費のことを考えるとクラっときそうなくらいの壮大さだ。

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