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坂本(木原勝利)の魔の手がすぐそこまで来ている…。

『3000万』第3話 ©NHK
『3000万』第3話 ©NHK

 一方で、純一に買ってあげたいと願う祐子にかけた「せっかくだからいいの買いなよ。そうじゃなきゃ意味わかんないじゃん。こんなことになったのにさ」「あいつが死んだの、あたしたちのせいじゃない。どうしようもなかったよ」という言葉は自分にも言い聞かせているようにも見えた。自分勝手だけど、強がって自分の弱さを隠すような人間味もあり、ダメなのにどうしようもなく惹かれてしまう。

 祐子もそんな美姫の言葉に背中を押され、例のお金からグランドピアノを購入。だがその直後、美姫が厳重に隠していた残りのお金を巧妙に見つけ出し、全て持ち逃げする。油断した…!と多くの人が祐子と同じ気持ちになったのではないだろうか。だけど、小山田壮平の「君に届かないメッセージ」をバックに旅立つ彼女を応援したい自分もいる。翻弄されっぱなしだ。

 さらには義光がどうせ後でお金が入るからと仕事を辞め、機材の購入やプロデューサーに支払うお金を工面するため貯金に手を出したことが明らかに。実はお金を入れた袋に祐子はGPSを仕込んでおり、美姫の居場所はすぐにわかったが、後は追わなかった。

 蒲池のことがあってからフライパンを見るだけで動悸が止まらない祐子。それくらい直接的な原因ではないかもしれないが、一人の命を奪ってしまった事実は彼女にとってショックが大きかったのだ。だからもう全て終わりにして、あの忌々しい記憶を消し去りたかったのだろう。

 ラストで、純一がグランドピアノで奏でる「主よ、人の望みの喜びよ」の音色も、それを隣で聴く祐子の表情も未だかつてないほど穏やか。なのに不安なのは、美姫の行方を追う坂本(木原勝利)の魔の手がすぐそこまで迫ってきているから。

 美姫と蒲池が失踪したことで降格され、なおかつ刑事の奥島(野添義弘)と野崎(愛希れいか)にも目をつけられて坂本はアンガーコントロールが効かなくなっている。そんな彼が美姫と祐子たち家族の繋がりに気づいたらどうなるか…考えただけでも恐ろしい。

(文・苫とり子)

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