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人生の機微を豊かにする団地のコミュニティ

『団地のふたり』第8話 ©NHK
『団地のふたり』第8話 ©NHK

 何がいいって「普通のドラマのように大きな事件が起きない」ところがいい。これまでに放送された内容もほぼ住人たちによる、どこの街の一角にもあることばかり。網戸の張り替え、認知症の母の介護、夏祭り、娘の思春期、団地のモテモテおばさんなど、自分の地元を振り返るような話が並んでいる。

 このささいな事件に毎度駆り出される、ノエチとなっちゃん。団地を一歩出れば「おばさん」と呼ばれても、団地内では「若い人」なのだから頼られて当然。

 私はこの光景が少しうらやましく感じた。年齢を重ねていくと、生活に事件や変化が減る。友人たちとも時間が合わなくなるし、ライフイベントも減る一方で、集合率もぐんと下がる。人間は変化によって生きているのに、それら全てが自分から遠ざかる。人生の濃淡が減ると言っても過言ではない。

 が、対するように団地のコミュニティでは、小さな事件が日々勃発。大きな事件は困るけれど、解決できるレベルの事件は井戸端会議のネタであり、優しさだと観ていて微笑ましくなる。

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