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人生の先輩と接することのありがたみ

『団地のふたり』第8話 ©NHK
『団地のふたり』第8話 ©NHK

 そしてこれぞ近所付き合いの醍醐味と言えるのが「老後の自分が見える」ことがいい。

 ノエチとなっちゃんも団塊世代から生まれた、人口の多い世代。60歳を控えて不安に思うのは、やはり老後のこと。私も40代からじわじわと感じている。

 老後がなぜ不安なのかと言えばロールモデルがいないからだ。親世代は男尊女卑バリバリで、女性が第一線で働くことが珍しかった。老後は夫婦で子どもたちに囲まれて過ごすという、定番路線しか選択肢がなかった。が、私たちの世代は単身が増える一方。2030年には、単身世帯数が2025万世帯となり、総人口の17.0%を占めるとも言われている。

 でもこのドラマの団地に至っては心配無用。日々を過ごす先輩たちに、余生の自分を重ねることができる。第8話ではラストに姿を消してしまったけれど、福田さん(名取裕子)が残した名言、

「自分の人生の主役は自分よ!」

からも、死ぬ間際まで楽しそうな自分が容易に想像できてしまう。前述の小さな事件を解決しながら、若い人に助けてもらって迎える老後。想像ができる未来とは不安が少ない。そんなシーンが恋しくなり、また日曜の22時が待ちきれなくなってしまう。

(文・小林久乃)

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