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菅田将暉の「みぞうゆう」が懐かしすぎる…原作”インスパイア”の不安を見事に払拭したワケ。 ドラマ『民王R』考察レビュー

text by 田中稲

遠藤憲一が主演を務めるドラマ『民王R』(テレビ朝日系)が放送開始した。本作は前作『民王』から9年ぶりの続編。池井戸潤の原作をインスパイアし、総理大臣が全国民を対象に、心と体が入れ替わる痛快政治エンターテインメントだ。今回は、第1話のレビューをお届けする。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

「inspired by池井戸潤」の不安を一蹴!

『民王R』第1話©テレビ朝日
『民王R』第1話©テレビ朝日

 9年の時を超え、武藤泰山が帰って来た――。『民王』の続編、と言っていいのかどうかわからないが、とにかく、あの武藤泰山が帰って来たのだ!

 2015年に放送された『民王』(テレビ朝日系)は何度観ても飽きない名作。ゴリゴリの昔気質の政治家武藤泰山(遠藤憲一)が、某国のテロにて、学校の勉強は苦手だがおとなしくやさしい息子、翔(菅田将暉)と入れ替わってしまう、というストーリーだった。

 入れ替わりを演じる遠藤憲一と菅田将暉の演技はもちろん、ドS秘書・貝原役を演じた高橋一生も素晴らしかった。

 だからこそ、今回の『民王R』は前情報を観たとき、不安にもなった。キャストを見ると、菅田将暉不在。高橋一生不在。「inspired by池井戸潤」。えっ、インスパイアとは? 戸惑って詳細記事を読むと、なんと原作の池井戸潤は、今回は関わっておらず、オリジナル脚本という。ぬうう、これはギャンブルではないか!

 さらに秘書役に、まさかのあの。秘書のイメージが全然ない。書生役の、なにわ男子の大橋和也も未知数。今回の入れ替わりは「日本全国民」というザックリな設定も不安。

 いや、確実な楽しみポイントもある。前作に引き続き、みんな大好きコミュ力お化けの官房長官「かりやん」こと狩屋さん(金田明夫)、神出鬼没な公安の新田さん(山内圭哉)は登場。おまけに敵ボスキャラの政治家二木に、日本一、ししおどしがある料亭での密談シーンが似合う、岸部一徳が決定!
 
 ……期待と不安が一つになって、名作になるのか、駄作になるのか、予想が1ミリもできない。「入れ替わり」というオイシイ設定だけを取り込んだ、悲しきインスパイアにならないことを祈りつつ、10月22日21時、チャンネルを合わせた。

 すると、なんということでしょう――。新たな冒険が見えてきた!

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