20年以上変わらない魅力
また事件でも“変化”がキーワードであった。
まずは第一の事件、仁科征司(内野謙太)が起こした芦屋議員殺人事件。二科は自身の臆病さのせいで、親友であり同僚でもあり恩人でもある日高行人(中村歌昇)の人生を狂わせてしまった。
日高は二科に自分の意志を継いだ勇気ある警察官になって欲しいと望んでいたが、二科は警察官としての誇りよりも日高への情が勝り、全ての根源である神山の死刑執行の為なら何でもやるようになってしまった。
これは日高の思いを踏みにじる、警察官としても許されない行為だが、臆病だった二科の“変化”と捉えることもできる。
そんな警察官であることを放棄した二科に対する、熱い正義感を持っている右京の激昂が素晴らしい。警察官とはどんな人間で、拳銃は何の為のものか、何よりも日高の想いを無碍に扱っていることを伝えるのが熱い。
やはり『相棒』は、“悪”に対し研ぎ澄まされた“正義”を杉下右京がぶつけていくのが20年以上変わらない魅力である。それを今期は初回から再確認できた。