高田創への期待と心配
このように今作では“変化”の良し悪しについて掘り下げられているが、最も“変化”が描かれているのは、元少年Aこと高田創である。右京に憧れ警察官となり、特命係に入りたい思いをストレートに伝え、自分こそが“相棒”に相応しいと思っていた点を反省して亀山に謝罪する。
憧れでしかなかった存在と共に捜査をする事で自分の立ち位置を再認識し、また事件を通し、警察官として正しくあろうとするなど、心根の部分にも大きな変化があった。
ただ面白いのは創が警察官として様々な変化を経て、成長した結果、警視庁150年の歴史が受け継いできた刑事としての理念を体現しているという点だ。変化が変わらないものに昇華したのだ。
刑事課に異動になった彼も今後1人の「警察官A」として羽ばたき成長し、そして未来に意志を伝えていくのだろう。
ただ心配なのは杉下右京に憧れてしまっている点だ。右京は精神性こそ模範的警察官ではあるが、真相オタク故に違法捜査や囮捜査や嘘の引っ掛けなどやりたい放題である。実際彼に影響を受けた甲斐享は「ダークナイト」になってしまった。
今回限りなら大丈夫だと思うが、劇薬でもあり警視庁150年のバグでもある杉下右京に大きく影響は受けず、また今後成長した姿で再登場してほしいと切に願う。
(文・Naoki)
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