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「働く意味」は十人十色

『無能の鷹』第3話 ©テレビ朝日
『無能の鷹』第3話 ©テレビ朝日

 鵜飼は居酒屋で同僚に毒を吐いていくうちに、なぜ出世したいのか、なんのために自分が毎日社内の情報を集めてがんばっているのかわかんなくなってしまうのだった。

 だが、その答えは同期の鵙尾が知っていた。鵙尾によると、鵜飼はただ「がんばっているのが好き」なのだ。

 出世のためでも評価のためでもお金のためでもなく、がんばるという行為そのものを好んでいる。仕事をがんばることで結果的に自分を誇りに思うことができるし、周りからの信頼も得られるという点で、とても健康的な思考だと感じた。

 また、鵙尾は、鵜飼によると「自分がサボるための努力が得意」だ。自分が楽をする方法を採るためなら、回り道もできる。

 一見相反するような思考が混在しているようだが、鵙尾の考え方に共感する人は多いのではないだろうか。めんどくさがり屋が会社にとって役に立つシステムを作るというのも、きっと物語の中だけでの話ではないはずだ。

 このように人によって働く喜び、もっと言えば「働く意味」は様々だ。周りを見渡せば、生きるためだけに働いている人、趣味のためにお金を稼ぐ人、仕事そのものが好きな人など、十人十色の働き方があるのは、この多様性の時代においては当然のこと。

 その上で、人に押し付けないことが重要だと『無能の鷹』はドラマを通して教えてくれる。最終的に鵙尾と鵜飼が昔のような仲良しに戻るわけではなく、適切な距離感を理解して、付き合っていくという方法を選んでいたのは納得できる決断だった。

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