見上愛”彰子”の覚醒っぷりがすごい…孤立していく道長の未来は? 大河ドラマ『光る君へ』第41話考察レビュー
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。新たな帝となった三条天皇と道長の間で、政の主導権を巡り、腹の探り合いの日々が始まった…。今回は、第41話の物語を振り返るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
道長vs三条天皇
政の主導権争いが勃発
一条天皇(塩野瑛久)の崩御から四十九日にあたる日、新たに即位した三条天皇(木村達成)が内裏に入った。すると早くも政の主導権を握りたい三条天皇の道長(柄本佑)に対する牽制が始まる。『光る君へ』第41回では、新たな時代の幕開けとともに道長の立場が揺らいでいく様が描かれた。
三条天皇は、円融天皇(坂東巳之助)の兄にあたる第六三代・冷泉天皇の皇子で、花山天皇(本郷奏多)の異母弟だ。だが、円融天皇が自分の息子である一条天皇を次の東宮に据えることを条件に退位したため、三条天皇は一条天皇よりも4歳年上でありながら、その東宮として25年も過ごす羽目になった。何年も苦渋を嘗めただけに、ようやく自分の時代が訪れた喜びはひとしおだ。
前回、妻・娍子(朝倉あき)に「公卿らをまとめ、私の政を進めるためにも左大臣をないがしろにはできぬ。されど、(中略)言いなりにはならぬ。私は今の帝とは違うゆえ」と意気込みを語っていた三条天皇。今回は、彼はその言葉通りの動きを見せる。
まず内裏に上がるにあたって、その手はずを朝廷の儀式に精通している実資(秋山竜次)ではなく、公任(町田啓太)に整えさせた。これについて、公任は「帝は俺を自分の側に取り込んで、我らの結束を乱そうとしておられるのではないか」と道長に耳打ちする。
道長は「それほどの魂胆はおありになるまい」と高を括っていたが、その後、内裏に上がった三条天皇は道長の腹違いの兄である道綱(上地雄輔)、甥の隆家(竜星涼)、息子の教通(姫子松柾)を側近に選んだ。
これは道長の身内を贔屓して借りを作るためだと考えられる。しかし、道長の嫡男・頼通(渡邊圭祐)を差し置いて弟の教通を重用していることからも、より自分に取り込みやすい人選をしていることは明らかだ。