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指先から溢れる有能感

『無能の鷹』第2話 ©テレビ朝日
『無能の鷹』第2話 ©テレビ朝日

 本作の面白ポイントは、中身は無能である鷹野が、その外見から溢れ出る有能感によって周囲が勝手に勘違いして振り回されるというところにある。つまり、周囲が勘違いしてしまうほどの鷹野の有能感をいかに演出するかが本作の肝となるのだが、菜々緒はそのハードルを易々と越えてきた。

 面接会場で鶸田が落とした書類を拾い上げた時の姿勢に一切の無駄が無かったり、なぜか英語の発音が良かったり(相手の言葉を繰り返しているだけで決して英語が堪能なわけではない)と、鷹野の何気ない所作や発する言葉の一つ一つに華がある。
 
 中でも、特筆すべきはその指先。横断歩道を手を挙げて渡る際、指先までビシっと伸びており、どこか高貴なお家柄を想像させる。髪をかき上げる時もゆっくりと指先に髪の毛を耳にかける仕草から品性が感じられ、ついつい視線を奪われてしまう。

 加えて、鷹野はくしゃっと笑うことも、眉間にしわを寄せて怒ることもない。喜怒哀楽は伺えるが表情からはイマイチ感情が読み取れない。喜怒哀楽が見えない人にはミステリアスな印象を抱きやすく、その人の一挙手一投足が気になってしまうことは少なくない。そういった言動や表情が底知れぬ有能感を生み出し、実際の鷹野の無能さをより一層笑えるものにしている。

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