坂本の人間くささが嫌いになれない…。
焦れば焦るほどドツボにはまり、イライラが抑えられなくなっていく坂本。今の彼は何をきっかけにスイッチが入るかわからない地雷のようなもので、長田(萩原護)が「組織のトップってどんな人なんだろう」と疑問を持っただけで「俺じゃ不満か」「俺は上だと思えないってことか?」とキレ始める。頭に血がのぼる、という木原勝利の表現があまりにリアルで長田と一緒に思わず体がビクッとなってしまった。
だけど、坂本は決して理解不能な人物としては描かれていない。彼がアンガーマネジメント講習を受けているのは、木津から怒り過ぎるところを直さなければ、上にはいけないと言われているから。
そんな坂本は、どこか無気力で感情に波がない長田に「羨ましい」と零す。理想の自分になれない苛立ち、部下には裏切られ、上司からはその責任を取らされるという中間管理職の悲哀ものぞかせる坂本はあまりに人間臭くて、嫌いになれない。
しかも、自分の話を否定せず聞いてくれたお礼なのか、長田に「とっとけ」とお金を渡すものだから、ちょっと好きになってしまった。長田もそんな坂本の意外な一面を垣間見て、少し親しみが湧いたよう。長田の車に自動車整備工場から入手した祐子の免許証の控えを見つけ、「僕この人に会いました」と打ち明ける。ついに坂本が祐子とソラのつながりに気づいてしまった。