『未成年』『家なき子2』鬱ドラマ全盛期
渋谷散歩のシーン、宮下公園で休憩中にマルコとドヨンが話題にしていたドラマが、いしだ壱成主演の『未成年』(1995、TBS系)だ。
脚本は野島伸司。バブル期は、小泉今日子主演の学園ドラマ『愛しあってるかい!』(1989、フジテレビ系)など、弾けたドラマを手掛けて人気を得ていたが、1993年の『高校教師』(TBS系)を皮切りに、社会問題と若者の暴走や絶望を交えたダークな路線になっていく。1994年の『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』(TBS系)、そして1995年の『未成年』と、いじめや偏見が描かれた問題作を連発し、それが大ヒットしたのである。
これらの影響もあり、野島作品以外も、過激で鬱展開のドラマが増えていた。1995年放送ドラマでは、浅野温子が精神安定剤を嚙みながら異常犯罪と向き合う『沙粧妙子 – 最後の事件 -』(フジテレビ系)も強烈であった。犯人より、むしろ主演の浅野温子の闇演技が怖かったことを覚えている。
また、世の中が不穏な動きをするときは、オカルトが流行る。超常現象のまつわる事件に、男性捜査官モルダーと、懐疑的な女性捜査官スカリーの対照的なコンビが挑む『X-ファイル』も人気を博したのも1995年冬だ。
しかし、どんな過激なドラマも、現実には勝てなかった。実際に起こる事件が、ドラマを超えていく。そんな時代だったのだ。