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セイラとドヨンが読んでいた『昨日の世界』ツヴァイクとは?

ドラマ『95』第7話よりⒸ「95」製作委員会
ドラマ『95』第7話よりⒸ「95」製作委員会

 ミスチル、ドラマ『未成年』、そしてもう一つ気になるのが、第7話に登場した本、ツヴァイクの『昨日の世界』である。岸セイラ(松本穂香)がわざわざ図書館に頼んで取り寄せてもらい、チームの文武両道キャラ、ドヨン(関口メンディー)も読んでいた。

 シュテファン・ツヴァイクはユダヤ人の小説家で、ユダヤ狩りから逃れるため、イギリス、ブラジル、アメリカなどを転々とする生活を強いられた。『昨日の世界』はそんな彼の少年時代から書き起こした自伝である。

みすず書房の公式サイトでは、『昨日の世界1』の紹介文に、こんな一節が抜粋されている。

 「それでは語れ、選べ、お前たち回想よ、私にかわって。そして少なくとも私の人生が暗黒のうちに沈む前に、私の人生の映像を見せてくれ!——」

 セイラとドヨンは、どんな思いで、ここに自分自身や1995年という時代を重ね、繰り返し読んでいたのだろうか。

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