飛鷹の「正義」と加勢の思惑、対立する2人の信念
距離が縮まった飛鷹と不破にほっこりする一方で、どんどん闇を深めていくのが捜査一課長・加勢英雄(中村俊介)だ。『ハンチョウ~神南署安積班』(TBS系、2009)をはじめ数々の刑事ドラマに出演してきた中村は、エリート刑事の風格を漂わせながら、本作でもその類まれなる存在感を発揮している。
鴻上が犯人とわかっても、いくつかの謎が残っていた。なぜ不破たち警察が見張っている中で被害者を殺害できたのか。どうして監視カメラの映像が1つも出てこなかったのか…。
これらすべてを可能にしたのは、警察の後ろ盾があったから。加勢が黒幕とは言い難いが、彼は度々不可解な動きを見せている。今回最も怪しかったのは、オクラが鴻上のアリバイを崩したと知った時の発言。
「鴻上には警察も随分と助けられてきた…でもいまやその影響力もない。そろそろ潮時かもな」
鴻上と警察の癒着を肯定し、価値がなくなったとわかればトカゲの尻尾切りのごとく切り捨てる。飛鷹の“正義”が犯罪者を法の下に引きずり出し罪を償わせることであるなら、対極に位置する加勢の“正義”は犯罪者を野放しにしてでも警察組織に旨味を与えることであろうか。