末次(内田健司)の一見いい人役が怖すぎる
坂本(木原勝利)が盗んだ金を大津に受け渡す日を探るため、掛け子のバイト中に末次の仕事部屋に侵入する祐子。だが、途中で末次が戻ってきて、次の名簿を探しにきたと言い訳するがかなり無理がある。末次は「次からは声かけてくださいね」と注意するだけに留まったが、部屋を出ていく祐子を見る目は明らかに何かを疑っていた。
末次のキャラクターがまた秀逸で、坂本とはまた違う怖さがある。坂本は一度キレたら手がつけられない凶暴さはあれど、感情が残っているという意味で、まだ人間味がある。対して、末次は自分の感情を徹底的にコントロールしていて、常に穏やかだから一見いい人に見えるのだ。
冷静に考えれば、闇組織にいる時点でいい人なわけないのだが、万が一自分が闇バイトに手を出し、初日にドキドキしながら現場に行って末次がいたら、正直ホッとすると思う。
「闇バイトといっても、そんなに怖い人ばかりではないのかも」「この人は信用しても良さそう」「この人が言うならもう少し頑張ってみよう」…というように、それが罠であることにも気づかず、泥沼にハマっていくのだろう。
奥島(野添義弘)に受け渡しの日と場所を伝え、祐子と義光も現場となったショッピングモールに駆けつける。さまざまなハプニングはありながらも、やるべきことをやった祐子たちは後日SNSに投稿された動画から無事に大津が確保されたことを知るのだった。
ようやく平穏な日々が戻ってきたと2人はすでに安心しきっているが、坂本は逃げ切っており、掛け子部屋はすでにもぬけの殻になっていて祐子は身分証の控えを回収することはできなかった。さらには、定年退職した奥島もようやく祐子や義光の異変に気付いた様子。まだまだ不安要素は残されており、少しも油断できない。
(文・苫とり子)
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