前例がないとしてエントリーが拒否されてしまう…。
「背伸びをする必要はない」「やってみてダメだったらやめればいい」、そんな気持ちもありながらスタートしたコンクールのための研究だったが、熱中すると、この科学部は強い。
クレーターの衝突を実験テーマにすることが決まると、観るだけでなく書き残したほうがいいという藤竹のアドバイスをもとに、写真も撮っておこう、砂を固めておくことはできないのか?とそれぞれがアイデアを出し、形にていく。そして、即席にしては上出来と藤竹にお墨付きをもらうほどの資料を作り上げた。
しかし、大会本部は定時制高校参加の前例がないとして、科学部からのエントリーを拒否した。機会すら与えられなかった。部員たちの苦労を、がんばりを、間近で見てきたからこそ、藤竹は「そんなの理由にならない!」と声を荒げた。
このときの藤竹は映らなかったが、これまで見せたことのない怒りを滲ませた表情をしていたのだろう。そこに居合わせた岳人と佳純が、驚いた様子で顔を見合わせていた。
藤竹がこの一件を大学時代の同期である相澤(中村蒼)に話すと、「世の中そういうもんだろ」と一蹴される。藤竹の「本当にそう思うか?」という目がまっすぐに相澤を、わたしたち視聴者を射る。
相澤は自分たちには「科学の発展に寄与する義務がある」とも言った。科学のエリートとして優遇されてきたという自覚があるからこその言葉で、相澤には相澤の計り知れない苦労がありそうだ。でも、だからといって、科学はエリートたちのためだけのものだろうか?
岳人や佳純、アンジェラ(ガウ)や長嶺(イッセー尾形)のように、それまで科学に精通していたわけではないからこその視点が、新しい気付きを与えたことが過去にも何度だってあったはずだ。それなのに、門前払いという仕打ち。どちらが科学への、そして学問への冒涜だろうかと考えさせられる。