科学部が秘めた無限の可能性
気を落とす部員たちを、藤竹は天体観測に誘う。明確な言葉で励ますことはしない藤竹に代わってみんなを鼓舞したのは、岳人たちと同じクラスの麻衣(紺野彩夏)だった。キャバクラで働きながら1人で子どもを育てている麻衣。
シングルマザーの子どもは可哀想、夜に保育園に預けるなんて可哀想、そんな偏見に満ちた言葉に日々さらされている麻衣は、そいつらは助けてくれない、だから腐ってる暇はない、と言う。
そして、「大事なのは、自分たちがなにをしたいか」「やったもん勝ち!」と。麻衣は親権を持ち続けるために、いつか自分のお店をもつという夢のために、定時制高校に通っているのだった。
藤竹が顔をほころばせたのは、麻衣の言葉に藤竹自身も励まされたからだろう。見上げた夜空にはたくさんの星が瞬く。新宿でも、こんなにたくさんの星が見えるなんて。
その星だって、まだ人間が知らないことだらけで、それはつまり、無限の可能性があるということ。藤竹のつくった科学部も、まだまだ多くの可能性を秘めている。