第2話「若いんだから」「自己責任」の呪縛
第2話で入れ替わったのは、生活苦から闇バイトに手を出してしまった青年、木下直樹(曽田陵介)だ。
スマホに映る自分の顔を見て「ああ、かっこいい…」と泰山の心の声が漏れたシーンがあったが、確かに私も思った。「今回の入れ替わりの人かっこいい…」と。
特に仁王立ちが素晴らしい。どこかで見た顔だと調べてみると、やっぱり前クール好評を博したドラマ『笑うマトリョーシカ』(TBS系)の青山君ではないか! こんな大事な回に抜擢されるとは、若手ルーキーと期待していいだろう。
そんな彼の熱演と、疲れた若者特有の鬱屈を静かに表したエンケンの名演で、都内において給料15万円で暮らす大変さが描かれる。
予告の時点ではてっきり闇バイトのヤバい内情がメインになると思っていたが、ふたを開ければ「真面目な若者がそこに陥るプロセス」が丁寧に描かれていた。
親とも疎遠、相談できる友達もいない。給料は上がらない。なのに、
「しゃきっとしてくれよ、若者なんだから」
「若者の孤立やなんやって…そんなの自分で努力してもらわないと」
という言葉が容赦なくのしかかる。
若いから、体力があるから、自分たちでなんとかできるだろう――。現代社会、若者とシニアの間に流れる深く広い溝、それはこの「自己責任」の溝だ。
いくら若くても悩みはある。が、これを言われちゃもう何も言えない、SOSを言おうにもグッとつまる。そして諦める。木下は、泰山の顔で力なく言うのだ。
「若者の孤立、貧困、そういうの、自己責任ですもんね」