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玉森裕太が全女子を沼らせる…! 心を打つ演技の秘密とは?ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』考察レビュー

text by 柚月裕実

現在放送中の火曜ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)。奈緒が演じる主人公・佐藤ほこ美が「殴ってやりたい!」と躍起になる相手が、玉森裕太演じる葛谷海里だ。今回は、玉森の演技にフォーカスしたレビューをお届けする。(文・柚月裕実)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:柚月裕実】

エンタメ分野の編集/ライター。音楽メディア、エンタメ誌等で執筆中。コラムやレビュー、インタビュー取材をメインにライターと編集を行ったり来たり。SMAPをきっかけにアイドルを応援すること四半世紀超。コンサートをはじめ舞台、ドラマ、映画、バラエティ、ラジオ、YouTube…365日ウォッチしています。

玉森裕太が演じる“全女子を沼らせる謎の男” 葛谷海里

『あのクズを殴ってやりたいんだ』第1話 ©TBS
『あのクズを殴ってやりたいんだ』第1話 ©TBS

 10月8日からスタートした火曜ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』。「クズきゅん♡ボクシングラブコメディ」と銘打つように、まっすぐな性格のほこ美と、クズ男だけど目が離せない海里を中心に、ボクシングを軸に様々な人間模様を描いている。

“全女子を沼らせる謎の男”・葛谷海里役で火ドラに3年ぶりの凱旋を果たし、役者として新たな顔を見せる玉森にフォーカスしてみたい。

 役作りのために目の覚めるような金髪に染め上げて海里役に挑む玉森。昼はカメラマン、夜はバーテンダーと、“全女子を沼らせる謎の男”らしい肩書き。しかし彼には過去の出来事によるトラウマを抱えていた。

 第1話では、冒頭から謎めいた雰囲気を醸していたのだが、終盤に向かうにつれ、化けの皮が剝がれるようにクズっぷりが露わに。複数の女性をとっかえひっかえ…に見えるのだが女性たちも割り切って楽しんでいる様子だ。

 海里も、悪そうでいて実際のところは振り切れてはいない。まるでボクシングで相手との距離感を掴むために繰り出すジャブのような、絶妙な立ち位置なのだ。

 ほこ美との距離が近づいた第2話。海里の心情が伝わる表情の芝居が印象的だ。

「俺は餌を蒔くだけ。食いつくかどうかは女の子次第」、「人は自分から追いかけた方が信じやすいから。実際そうだったでしょ?」と、式場でばったり遭遇したのも全ては海里が蒔いた餌だったと明かす。それを受けて怒り心頭のほこ美は、何度も「クズ」と言うが、「だから知ってるって」と動じない海里。(苗字が“葛谷”だから?)

 ほこ美の前では、面白がる時以外はほぼ感情を表に出さない海里だが、ほこ美が店を出ていったあと、グラスを片づけながらうつむいた時の目がどこか寂しげに映った。さらに、羽根木成(渡部篤郎)と対面をした時の動揺を隠しきれない表情からは、海里が抱える過去の重みが伝わってきた。ここまででもかなりの心の動きがあるのだが、玉森は表情を細かく変化させて演じていた。

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