宏樹(田中圭)が優しくなるほどに押し寄せる罪悪感
一方、美羽の異変に気づいた宏樹は、より一層優しくなる。美羽が辛そうな顔をしていればハーブティーを入れ、疲れた表情をしているときは「無理しちゃだめだよ」と心配そうに眉をひそめる。
とくに、美羽のために料理をする姿は、思いやりに溢れていた。宏樹がカットした不揃いな野菜は、クリームシチューを作ってくれた穏やかな過去を思い起こさせ、美羽を少しだけ笑顔にする。
宏樹は純粋に美羽を想っていた頃に戻りつつあるが、今度は逆に美羽が変わってしまった。宏樹が優しくすればするほど、美羽の罪悪感は波のように押し寄せ、じわじわと自らの首を絞めていく。
「俺は美羽を愛してるから」と伝える宏樹に、「私も」と返せない美羽が切ない。悪女になる決意をしたのなら、もう少し毅然とした態度で宏樹に向き合ってほしい気もするけれど。取り繕えないところが、美羽らしいともいえる。
宏樹から少しの休息をもらった美羽は、親友・小森真琴(恒松祐里)が経営する雑貨屋を訪れる。しかし、運命のいたずらか、そこでまたもや冬月と出会ってしまう。
真琴と別れた後、何かがプツンと切れたように冬月へ連絡をする美羽。顔を合わせ、自分の口から宏樹と仲直りしたこと、子どもが生まれたことを告げ、冬月との関係を断ち切ろうと試みる。
昔も今も、助けてもらってばかり。そう感謝する美羽に、冬月は「夢も大切な人たちも夏野(美羽の旧姓)のことも、何ひとつ守れなかった」と肩を振るわせ弱さをみせる。
いつも美羽を救ってくれたヒーロー的存在の冬月が、傷ついて涙を流している。そんな彼に寄り添おうと、思わず抱きしめ返してしまう美羽。その様子を、息を呑むような表情で見ていたのが真琴だった。