次回はついに篠谷(森川葵)が中心に?
「助けたい」気持ちだけが先行して報われることがなかった過去が一瞬フラッシュバックしたように、牧野は視線を泳がせ、涙目になる。牧野の強さも弱さも成長の過程も全部ひっくるめたような松下の一連の演技にはやはり舌を巻いてしまう。
だが、親子の問題はまだ片付いていない。父親の真吾(和田聰宏)を学校に呼び出し、牧野は羽菜が自傷を行っていたことを明かす。自傷に至るまでの道には様々な葛藤があったはずだが、父親は娘を見ようとしていなかった。
そんな背景を見抜いているから、牧野は鬼気迫る表情で「事情を話せたのはあいつ自身が向き合おうとした証拠。傷は隠していた言葉のすべてです」と伝えるのだった。
娘だろうと、他人であろうと、関係をしっかりと構築できていなければ自傷行為を理解することは難しい。だが、そうなるまでの過程には必ず問題があるはずで、顔を突き合わせて話し合うことでのみ問題は解決に向かう。
医師だけ、教師だけの力で解決できないことを知る牧野は「抱え込んだお前が傷つくくらいなら、こいつが傷つく方がいい」という言葉には思いやりと愛が込められている。
牧野が学校医としてまた一歩進んだように見えた第5話。そして、次回は牧野とは対照的に描かれてきた篠谷(森川葵)が中心に据えられる予感が漂う。児童に寄り添いたいけど、それがかなわないという先生の“リアル”を見せているような存在の彼女がどう変化を遂げていくのか見逃すことはできない。
(文・まっつ)
『放課後カルテ』(日本テレビ系)
毎週土曜よる9時放送
【関連記事】
【写真】松下洸平の迫真の芝居に惚れる…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『放課後カルテ』劇中カット一覧
今までで一番難しい問題…松下洸平”牧野”が向き合うリアルとは? ドラマ『放課後カルテ』第4話考察レビュー
一見きつい? 松下洸平”牧野”の「大人げなさ」が子どもたちの信頼を得る理由とは?『放課後カルテ』第3話考察レビュー
【了】