ライオンとの対面の前に警察に捕まってしまう…。
かくして訪れた遊園地。時間より早くついてしまったため、美路人とライオンは2人で乗り物に乗る。ライオンが現れてからイレギュラーなことばかり起きるなかで、ライブペイントを成功させたり東京への出張もこなしたりした美路人はどこか頼もし気な表情だ。その隣で、ライオンが大声で洸人の名前を呼ぶ。
「なんなんだよ、疲れるなぁ」という洸人のつぶやきは、まったくネガティブではない。これまでいろんなことがあった。
大変だった、もっと穏やかに過ごしたかった。でも、あってよかった大切な時間だ。なのに、もしかしたら、このあと愛生に会って、唐突に終わりを迎えるかもしれない…。そんな優しくて複雑な感情がないまぜになった声色、表情だった。
そして、いよいよ対面できるというその瞬間、愛生は警察に捕まってしまう。一方のライオンは、突然走り出てきた牧村(齋藤飛鳥)によって抱きかかえられ、物陰に隠れていた。
散らばっていた折り紙のチューリップを、愛生に会うことを「怖い」と拒んだ美路人が拾っていた。ライオンが、おそらく愛生から習い、愛生のためにつくったチューリップ。
結婚の報告にやって来た愛生に、洸人たちの母(坂井真紀)が贈ったのも、チューリップのネックレスだった。そのとき、庭にもたくさんのチューリップが揺れていたから、きっと美路人にとっても家族の幸せな思い出のそばにある花なのではないか。連行されていく愛生の首には、いまもチューリップのネックレスが揺れていた。
(文・あまのさき)
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