第5話で初めて見せた感情の爆発
毎話魅力的な演技を見せる窪田ではあるが、とりわけ第5話は印象的なシーンが目立った。中盤、藤竹が顧問を務める科学部が「『定時制高校が参加した』という前例がないから」という理由で、コンテストの出場を拒否されたことを教頭(佐藤正浩)から告げられ、藤竹は「そんなの理由にならない」と激高する。
その後、かつての同僚・相澤努(中村蒼)と食事をするシーンで、藤竹は科学部がコンテストの出場を拒否されたことを話す。相澤は「世の中そういうもんだろ」と返すと、藤竹から“光”が徐々に失われていく。
藤竹は「本当にそう思うか?」と詰めると、「参加資格があるとはいえ、毎年出てくるのは名門校ばっかりだろ?」「『前例がない』ってことは『空気読め』ってことじゃないのか?」と言われる。これに藤竹は何も返答せず、ただその表情からは心のシャッターが閉じる大きな音がしたように感じられた。
藤竹が喜怒哀楽の“怒”と“哀”を表出させる珍しいシーンが続き、普段の穏やかな言動とのギャップが働いてそのインパクトは抜群。なにより、理不尽な仕打ちを受けた生徒のことを思って感情が動いており、藤竹がいかに熱い教師なのかがよくわかった。窪田がここぞという場面で感情を爆発させる力を発揮しているからこそ、その爆発をダイレクトに受け取った視聴者は、藤竹という人間にどんどん惹かれていってしまうのだろう。