岳人(小林虎之介)とコンピューター部・丹羽(南出凌嘉)の共通点
そこはコンピューター部に所属し、情報オリンピックへの出場経験もある秀才・丹羽(南出凌嘉)がコーディングのスキルを磨くべく、日々作業に使用している部屋だった。藤竹が実験に使いたいと言っても首を縦に振らない。
丹羽が普段の授業で使っている席がたまたま岳人と同じだったことから、奇妙な文通がはじまり直接顔を合わせることになるのだが、岳人が丁寧に実験の説明をしても、部屋を貸そうとはしなかった。
だが、2人には大きな共通点がある。岳人は学会発表、丹羽は情報オリンピックという夢中になれる目標を持っている。
しかもそれは、岳人は自身が抱える学習障害の可能性に気付かず1度勉強を投げ出した過去が、丹羽は本来の実力から比べたらはるかに低い高校に通っているという、自分にとってある種のコンプレックスを跳ね返すための目標だ。
岳人と丹羽の交流がはじまったのは藤竹も意図しなかったことではあるが、必要以上に介入しなかったのは、2人ならわかりあえるはずだと考えていたからなのかもしれない。なにより、岳人のことを信頼していたから――。
前話で科学コンクールへの出場が認められないことに声を荒げた藤竹の思いは、きちんと岳人に通じていたことがわかったのも、胸アツの展開だった。