端島が舞台の映画『燃ゆる孤島』は実在の映画
炭鉱たちの厳しい労働だけではなく、カルチャー(←百合子風に)にもスポットが当たっているのが、このドラマの深みを一層増している。
第1話では、進駐軍専属の歌手だったリナが歌う端島音頭。端島音頭は7番まであり、作詞・作曲・振り付けすべてが島民によるもので、軍艦島が栄えた時代は、盆踊りで必ず踊られた。
第2話では、百合子が長崎で知る「スクエアダンス」が登場。1946年末から長崎でウィンフィールド・ニブロ氏によるスクエアダンスの指導が始まり、そこから流行に火がついたという。そこから指導者を育成する講座が開かれ、スクエアダンスだけでなく、フォークダンスブームが全国的に広がっていくのだ。
そして第3話の映画『燃ゆる孤島』。この続編を作るためのオーディションで、朝子は演技の才能を開花させる。結局続編オーディションは詐欺だったが、この『燃ゆる孤島』自体は本当にあった映画だ。1948年に公開された松竹映画で、原作は、脚本家の八木保太郎。彼はその後『愛と死をみつめて』(1964)『橋のない川』(1969)という名作を手掛けている。
そのほか、朝子が鉄平に恋をしたきっかけとして「鞍馬天狗」も登場。覆面で顔を隠した正義の味方で、1927年から1956年まで鞍馬天狗を演じたのは嵐寛寿郎。その後、何度もリメイクされ、近年では2008年、野村萬斎が演じている。