軍艦島繁栄の象徴・鉄平(神木隆之介)と閉山の象徴・古賀(沢村一樹)
神木が軍艦島パートで演じる鉄平が、長崎大学卒業後、端島に戻り炭鉱の職員として働き始めるのと、端島が全盛期(1960年代)へと向かうのは同じタイミング。つまり、このドラマにおいては、鉄平は端島繁栄のキーマンであり、彼の幸せは端島の繁栄と比例する。
だからこそ、1974年閉山という歴史を考えると、彼が、どんな最期を迎えるのか、少し怖い。現代パートのいずみ(宮本信子)を見ても、あまり幸せなものでないことが感じ取れる。
逆に、閉山のキーマンは、その衰退の未来をすでに知っているような、新炭鉱長の古賀(沢村一樹)。彼がどう動くのか、目が離せない。
いづみを演じる宮本信子の美しさ、知性的な雰囲気は、資生堂化粧品「プリオール」のCMでも常々感じていたが、いやはや、79歳には思えない。玲央の部屋に押し掛けるときの、インターホン越しの「来ちゃった♪」の笑顔のなんと可愛いことか。
いづみは、百合子なのか、朝子なのか、それともリナなのか――。
「リナ」が偽名っぽいので、リナのようにも思えるが、あえて、3人のうち、誰でもない説に手を挙げたい。もう一人、5人を見守るメインキャラがいる…かも?
『VIVANT』(2023、TBS系)でも、第4話でやっと松坂桃李が登場したことだし、隠しメインキャストがいてもおかしくない。
まだ3回が終わったばかり。軍艦島の全盛期はしばらく続く。高度成長期をギュッと凝縮させたような、1つの世界を見守ろう。
(文・田中稲)
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