すべてを持っていく中井貴一と段田安則の演技
後日、五味は謝罪に訪れた柚子に「ひどいことを言って悪かった」と非を認め、塔子や院長の薬師丸卓(山崎育三郎)にも「看護師さんたちは何も悪くありません」と伝えた。
なぜ、五味の態度が急変したのか。それは静の存在が大きかった。静と五味は地元・広島の同級生。そんな彼が、柚子の発言のあとに五味の病室を訪れた。イレギュラーながら余命宣告を受けてどこかスッキリした五味と対話をした静。どこまでも寄り添う静のフォローもあってか、五味も反省し、態度が改まったというわけだ。
特に視聴者の胸を打ったのは、五味がこの世を去る直前。静と五味が広島弁で言葉を交わした一幕ではないだろうか。五味は最初から広島弁を交えて話をしていたが、静は仕事中ということもあって敬語を使い、あくまで患者として接してきた。そんな彼が「ナース」から「学生時代の友人」に戻ったのだ。
中井貴一と段田安則が紡いだこの場面は、第5話で最も印象に残るシーンとなった。
回想シーンがあるわけでも、バックボーンが語られたわけでもない。だが、静と五味の表情や台詞の一つひとつから彼らの過去や、目には見えない信頼関係を感じた。これがベテラン俳優のなせる技なのか?
数多くの名作を生み出してきた名優同士だからこそ成立した名場面。数分間、感動のあまり鳥肌が止まらなかった。
次回は三宅弘城演じる天才外科医・上杉基弘が登場する。物語の内容はもちろん、三宅が岡田や中井と、どんな掛け合いを見せてくれるのか。楽しみでならない。
(文・浜瀬将樹)
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