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「子育てを見張るのではなく、見守ってほしい」
『やさしい花』を通して伝えたい4つのこと

「『やさしい花」上映会&しゃべり場カフェ」(大阪市西淀川区)
「『やさしい花」上映会&しゃべり場カフェ」(大阪市西淀川区)

 ドラマは、放送が終わっても、心の中に残り続ける。ストーリーで観て、登場人物に感情移入することで、自分とは違う世界だと考えていた事柄が、ぐっと近くなる。

『やさしい花』も、石野真子、谷村美月と息子役の國分健太、西川忠志、早織のヒリヒリとするような名演も加わり、観ている私たちは、家族の葛藤をシミュレーションする。これはとても大きな意義がある。

 安田は、このドラマで伝えたいこととして次の4つを挙げる。

「1つめは、虐待は誰もが陥る過ちであること。2つめは、虐待したいと思って子どもを産む親はいない。3つめは、虐待から子どもだけではなく親も救ってほしい。そして4つめは、子育てを見張るのではなく、見守ってほしい。特に最後の想いは、多くの方に伝えたいです」

「本当は、このドラマが必要なくなるのが一番嬉しいんですけどね」、と安田は語るが、児童虐待の相談は年々増えているのが現状だ。

「虐待かも」と思ったとき、すぐに児童相談所に通告・相談ができる全国共通の電話番号「189(いちはやく)」は、通話料はかからず、24時間対応だ。通告・相談は、匿名でも大丈夫で、内容も秘密厳守される。

 また、子どもの虐待をなくすことを呼びかける「オレンジリボン運動」もすっかりおなじみとなり、毎年11月には「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」が国や自治体などで行われている。一足早く10月26日に滋賀県で開催された「びわこオレンジリボンフェスタ」でも、『やさしい花』が上映された。

 こうした広がりに、元NHKドラマ番組部チーフ・プロデューサーの越智篤志(本作を担当)は語る。

「NHK大阪放送局『子どもを守れ!』キャンペーンでのドラマ放送から13年経ちましたが、日本ではまだ、残念ながら児童虐待をめぐる事件が絶えません。そうした中、『子育てをする若いお母さんやお父さん、その子どもたちを守るための活動』をしている全国各地の皆さんが、
このドラマを活用して上映会などを実施しておられることを、制作者として本当にありがたく、嬉しく思います。熱演してくださった石野真子さん、谷村美月さん、息子役の國分健太さん、西川忠志さん、早織さんほか出演者の皆さん、このスキームに御協力をいただいた事務所の皆さんにも、お礼を申し上げたいと思います」

『やさしい花』のDVDは、NHK厚生文化事業団の「福祉ビデオライブラリー」で誰でも借りられ、研修等に活用できる。営利目的ではない参加無料イベントならば、上映も可能だ。

詳しくは安田真奈公式HP 「やさしい花」ページ
    NHKアーカイブス ドラマ「やさしい花」ページ

(取材・文:田中稲)
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【安田真奈プロフィール】

奈良県出身。メーカー勤務の後、上野樹里主演『幸福(しあわせ)のスイッチ』(2006)監督・脚本で劇場デビュー。本作にて第16回日本映画批評家大賞特別女性監督賞、第2回おおさかシネマフェスティバル脚本賞を受賞。堀田真由主演『36.8℃サンジュウロクドハチブ』(2018)、小芝風花主演『TUNAガール』(2019)、片岡千之助主演『メンドウな人々』(2023)、片岡礼子主演短編『あした、授業参観いくから。』(2021)など監督・脚本担当。

【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

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【了】

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