土屋太鳳の熱演に圧倒された…『海に眠るダイヤモンド』第4話に込められた「反戦」への強い思いとは? 考察レビュー
神木隆之介主演の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』が放送スタートした。本作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語だ。今回は、第4話のレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
百合子(土屋太鳳)と朝子(杉咲花)の心の雪解け
いづみ(宮本信子)は玲央(神木隆之介)を第二秘書として雇い、次期社長候補に任命。家族が二人の血縁関係を疑う中、玲央はいづみの部屋で彼女が「忘れられない人」と語っていた“荒木鉄平”の日記を見つける。
たまたま玲央が捲ったページから、1958年の「精霊流し」の日に遡った『海に眠るダイヤモンド』第4話。このエピソードの中心となるのが、百合子(土屋太鳳)と朝子(杉咲花)の心の雪解けだ。
もともとは百合子のことが好きだったが、突如端島の地に降り立った謎めいた美女・リナ(池田エライザ)が気になっていた鉄平(神木隆之介/二役)。しかし、朝子の初恋が自分であることを知り、単純な鉄平は彼女をそういう対象として意識し始めていた。
朝子も鉄平と中之島の桜を見に行ってからますます楽しそうで、百合子はつい嫌味を言ってしまう。
これまで百合子が朝子にだけ意地悪してしまうのは、擦れたところがなく純粋に人を愛し愛される彼女が羨ましいからなのだと思っていた。だが、その原因はもっともっと根深いところにあるのだと分かる。
1945年8月9日、百合子は教会のお手伝いで寿美子(山本未來)と姉と浦上天主堂を訪れていた。端島を旅立つとき、百合子はサボろうと身を隠していたが、朝子が居場所をバラしたことで寿美子に見つかってしまったのだ。ちょっとした子供のいたずら。しかし、結果的に百合子たちは長崎に投下された原子爆弾の被害に遭い、姉は亡くなった。
それから約10年が経ち、長らく体調を崩していた寿美子の容体が悪化し、そのまま息を引き取る。葬儀は身内だけで内密に行われた。賢将(清水尋也)は寿美子の父・基人(桜井聖)が「10年以上経ってから、まさか白血病で…」「妻と生前話していたことですが、娘のこともありますので」と話しているのを聞く。
その言葉から分かるのは、被曝によって白血病を発症していたこと。そして、同じく被曝した百合子が差別されないように、両親が徹底してその事実を隠してきたということだ。