これまでの集大成…『光る君へ』が示した「望月の歌」の新たな解釈とは? NHK大河ドラマ第44話考察レビュー
text by 苫とり子
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。三条天皇が息を引き取ったことにより、後一条天皇が即位。ついに道長が最高権力者の座を手に入れた…。今回は、第44話の物語を振り返るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
ついに摂政まで上り詰めた道長(柄本佑)
『光る君へ』第44回「望月の夜」。ついに摂政まで上り詰めた道長(柄本佑)が政治家人生に幕を降ろすこの回で、本作は一つの集大成を迎えた。
冒頭では、道長と三条天皇(木村達成)の最後の攻防戦が描かれる。公卿たちを味方につけ、譲位を迫ってくる道長に対抗すべく、自分の娘を道長の息子・頼通(渡邊圭祐さん)の妻にするよう提案する三条天皇。
しかし、頼通はこれを拒否し、無理やり結婚を推し進めるのであれば、妻・隆姫(田中日奈子)と駆け落ちすると宣言する。惚れた女性に一途なところは父親譲り。
自分もまひろ(吉高由里子)と駆け落ちしようとしていた過去があるからか、道長はそれ以上無理強いはせず、伊周の怨霊により頼通が体調を崩したことにして対処する。まさかこんなところで、伊周の呪詛が役立とうとは…。たしかに伊周の執念は凄まじかったため、当時の人もすんなりと受け入れたことだろう。