ホーム » 投稿 » ドラマ » これまでの集大成…『光る君へ』が示した「望月の歌」の新たな解釈とは? NHK大河ドラマ第44話考察レビュー » Page 2

気高く清廉な生き方を貫いた三条天皇(木村達成)

『光る君へ』第44話より ©NHK
『光る君へ』第44話より ©NHK

 万策尽きた三条天皇は自身の息子・敦明親王(阿佐辰美)を次の東宮にすることを条件に譲位した。だが、まもなく病に倒れ、そのまま息を引き取る。死の瀬戸際で「闇だ…闇でない時はあったかのう」と力なく呟いた三条天皇。

 彼は、第63代冷泉天皇の第二皇子として生まれた。次の天皇・円融天皇(坂東巳之助)が自身の第1皇子=のちの一条天皇(塩野瑛久)を花山天皇(本郷奏多)の東宮とすることを望んだため、一条天皇より4歳年上でありながら、二十年以上、その東宮として過ごすことになる。

 そしてようやく自分の番が巡ってきたかと思いきや、眼病を発症。やがては両目を失って聴力も衰え、それを理由に譲位を迫られる。不遇な人生といえば、それまでだが、三条天皇は簡単に諦めることはなかった。

 誰のせいにすることもなく、誰かを呪うこともせず、持ち前の交渉力で道長と渡り歩き、最後も一途に愛した妻・娍子(朝倉あき)に「闇を共に歩んでくれて嬉しかったぞ」と感謝する。なんと気高く清廉な生き方だろう。

 道長と覇権争いを繰り広げる中で何かを目論んでいるような表情をすることも多かった三条天皇だが、その心はあくまでも清らかであることを木村達成が巧みに表現していた。

1 2 3 4
error: Content is protected !!