中村蒼“相澤”の葛藤
一方、藤竹の大学時代の同期・相澤(中村蒼)は、念願だった探査機開発でプロジェクトのリーダーに就任した。ところが、自身が勤めるJAXAと共同研究を行う名京大学の教授・石神(高島礼子)から厳しい期限付きで成果を求められ、追い詰められていた。思うような進捗も得られず、チームのメンバーに声を荒げてしまう。
そんな折、藤竹と相澤の恩師で、かつて石神の指導教員でもあった伊之瀬(長谷川初範)が上京してくる。伊之瀬は、藤竹と気が合うのだろうというのがよくわかる、どこか捉えどころのない人物。だが、伊之瀬と酒を酌み交わす相澤は、研究室での険しい表情から一変し饒舌だ。プレッシャーの最中にはあっても、科学への情熱が揺らぐことはなさそう。
伊之瀬は、石神の辞書に「失敗の2文字は存在しない」と言う。きっと彼女も、とんでもないプレッシャーに打ち勝ちながら研究を続け、教授という立場を得たのだろう。そして、だからこそ、藤竹のように才能がありながら寄り道をしているように見える人のことを認められないのではないか。