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何もかもが反転した第7話

『3000万』第7話 ©NHK
『3000万』第7話 ©NHK

 この第7話は、何もかもが反転するような回だ。これまでは対立関係だった祐子と坂本たちが手を組んだことも、凶悪で恐ろしい人物を想像していたボスが一見普通の中年女性だったことも、いざとなったら祐子より義光の方が冷静だったこともそう。

 そして何よりも驚きだったのは、祐子が見せる意外な才能だ。当初は自分たちの手には負えないとソラの提案に乗り気でなかった坂本の心を動かしたのは祐子。トップが中年女性であることを誰も知らなかったのは、組織が小さく匿名性が守られているからではないかと深い洞察を見せる。

 さらには祐子の提案で、闇バイトとして雇われていた人たちを総動員した結果、ボスの正体を突き止めることに成功した。報酬は、組織からの解放。お金欲しさに罪を犯し、後悔している祐子だからこそのアイデアだ。

 人の才能はどこに眠っているかわからない。現に、普通のパート主婦で周りから舐められやすかった祐子にこれだけの力が眠っているとは誰も思わなかったはずだ。

 やっていることの是非はともかく、誰かと協力して何かを成し遂げようとする中で、その人にしかない個性や才能が炙り出される。それは、それぞれの作家性を活かし、ハイブリッドで上質な作品を生み出そうとする、この“WDRプロジェクト”そのもののあり方と重なる。

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