キモい=幸せなこと?
企業であるTALONにとっては新たなお荷物が誕生し頭を抱えてしまうだろうが、鳩山を演じるチャーミングな井浦新を見ていると視聴者的にはそんなことどうでも良くなってしまう。
ギャルとピースする写真から、サバゲーで崩れ落ちる姿まで、これまで(そしておそらくこれからも)見たことのない井浦の新たな一面をのぞかせてくれる。とりわけ肩をすくめながら「さあ、どうだろう」とおなじみの“鷹野ポーズ”をするシーンは営業部一同が絶望感を示しながら、見ているこちらはワクワクしてしまう奇妙なコントラストを生み出している。
ここまで鳩山が迷走するのは、愛する人のために動いているからだ。
恋をしていると盲目的に突っ走り、本来の自分を見失ってしまう。きっと人にはなかなか言えないような過去を持つ人も少なくないだろうし、その姿はキモいと言い換えることもできるかもしれない。
だが、それがなんだと言うのだろう。
キモく見えてしまうことだって他人に迷惑さえかけなければ別に悪いことではない。むしろキモいほどに人を愛する姿は美しいのではないだろうか。
第7話ラストで「キモいとは幸せなことなのですね」と総括する鷹野の言葉には考えさせられる。自分は人生でキモくなれた時期があるのか、キモくなれていない自分は人に本気で向き合えていないんじゃないかと、気づけば冒頭の鳩山に近い思考回路になっていることに気付く。
まるで禅問答のようなオチはいかにも無能の鷹らしい。