左右馬(鈴鹿央士)と端崎(味方良介)の関係性
「信じる気持ちを、汚さないでください」
寸借詐欺を仕掛けてきた女性に言い放った鹿乃子の言葉は、彼女の心の叫びだったのだろう。嘘を見抜く能力がある鹿乃子は、「この人は嘘をついていない」と分かるから、相手を心の底から信じることができる。
でも、左右馬や端崎、そしてわたしたちは、相手のことを信じたいと願うことしかできない。その人の言葉を聞き、自分が感じたことを正解にしていくしかないのだ。
個人的に、左右馬と端崎の友情が胸にグッとくることが多い。相手の裏の裏まで見抜くの左右馬と、まっすぐに相手の言っていることを信じてしまう端崎は、正反対なタイプだ。しかし、左右馬は端崎のそんなところが好きなのだろう。
「あいつは、どうしてこうもすぐに信じてしまうのかねぇ」とバカにしながら、“そういうところがいいんだけどな”と思っているように見えた。
また、端崎が「左右馬が傷つく不安を抱かなくてもいい。そんな友人になりたいのです」と言っていた場面も、「最高かよ…」となった。
「親友とは?」と聞かれるたびに、「いろいろな定義があるから答えられない…」と思ってきたけれど、裏切られるかもしれない不安を抱かなくてもいい、相手の言っていることを100%信じることができる。左右馬と端崎を見ていると、そんな関係性こそが“親友”なのかもしれないと思わされた。