少年らしさが溢れ出た最高のシーン
ここまで岳人の内面の熱さについて語ってきたが、それだけではなく可愛さを見せてくれるところも、小林虎之介の演技の注目ポイントだ。
科学に興味を持つようになってからの岳人は、実験に夢中であり、科学の話をするときは決まって活き活きとした表情を見せる。中でも第6話では、「火星の表面の平均温度はめちゃくちゃ低い。だから地表や地下には水や二酸化炭素が凍った氷があるって考えられている」と火星特有のクレーター“ランパートクレーター”ができる要因を丹羽に解説。さらには、ランパートクレーターを再現するための装置の概要に触れ「秘密兵器が俺達にはあんだよ」と見事なドヤ顔を披露した。
また、第5話では「定時制高校が参加した前例がない」という理由で高校生向けのコンテストへの出場が叶わず、部員一同が落胆する場面があった。中でも最初に入部した岳人は「俺たちみてえな人間は結局何やったってそんな風にしか見られねえってことかよ」と激怒する。
そんな部員を見かねて、後日、藤竹がリフレッシュのために学校の屋上で流星群を見ようと提案する。一般的な不良キャラであれば「くだらねー」と一蹴し、不良仲間とクラブで遊び狂っていそうなところだが、岳人は当然のごとく参加する。
それだけでも微笑ましいのだが、学校への道中、クラスメイトの庄司麻衣(紺野彩夏)とたまたま遭遇して「今から学校で星見るんだよ、流星群」「だから仕事終わったら来れば?」と誘うところがまた良い。コンテストに出場できなかった悔しさはすっかり抜け落ち、流星群の観察に心躍らせている少年のような晴れやかな表情がまぶしかった。
第7話で描かれた長嶺省造(イッセー尾形)と一緒に実験装置を開発するシーンも最高。作業中に「最近どうなんだよ」と長嶺の妻・江美子(朝加真由美)の容態を気にするところから、その後長嶺が作った昼食を2人で食べる。「そんな慌てて食うな。で、どうだ?」と味のレビューを求める長嶺に、岳人は「まあ悪くねえな」と返しながらご飯をかきこむ。
この何気ないやり取りが堪らない。50歳以上の年の差を感じさせないこともすごいが、2人の間には気の置けないクラスメイト同士の空気感が形成されており、それがあまりに微笑ましかった。