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感情が漏れ出る声のトーンが絶妙

『宙わたる教室』 第2話 ©NHK
『宙わたる教室』 第2話 ©NHK

 本作における岳人の声は低い。声が低いと、一般的に喜怒哀楽が分かりにくいのだが、かといって、わかるように抑揚をつけて話せば、岳人のキャラが変わってしまう。

 小林は、 “柳田岳人”というキャラが逸脱しないように絶妙に声を操っている。ぶっきらぼうな話し方をしている中でも、岳人の喜や楽の感情が漏れ出る瞬間、それがはっきりとわかる。小林がやっていることは器用なのだが、“柳田岳人”は不器用なのだ。だからこそ視聴者はその岳人の感情の漏れにニヤニヤさせられるのだろう。

 頼もしさがありながらも可愛らしさも持つ。そんないろいろな表情を演じる柳田という役を演じ切る小林の演技力に、「まあ悪くねえな」と褒め称えたい。

 現在26歳の小林は2021年にデビューしたばかりで、決してキャリアが長いわけではない。にもかかわらず窪田正孝という経験も実力も兼ねそろえた役者を相手にして、心揺さぶる演技を連発していることは改めて驚きに値する。

 これほどの存在感を放つ“柳田岳人“は、名実ともに『宙わたる教室』のもう1人の主人公といっても差し支えないだろう。残り話数も少なくなっており、これまで以上に小林虎之介の演技を目に焼き付けていきたい。

(文・望月悠木)

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