監督たちが目撃した、久保田紗友のすごさ
―――ヒロインの香帆を演じた久保田紗友さんの印象はいかがですか?
多賀「凛としている印象で、どうやって香帆になるんだろうってすごく楽しみにしていました」
川和田「一度本読みをやった段階で、すごくやわらかな空気を纏った香帆をつくりあげてくださっていましたね」
佐藤「撮影に入ると、役を自分に引き寄せて、繊細な部分まで可視化されるように演じられていたのが印象的でした。監督の自分よりも考えてるなって思うシーンもありましたし、編集のときにここまで考えてやってくれてたんだって気付かされた部分もありました」
―――具体的にここがすごかったなっていうシーンはありますか?
佐藤「2話で真也が家にアカリを連れて帰って来て泣きながら家を出て行ったとき。公園までの道中の泣く加減と、公園についてから伊織と電話で話してる感情の一貫性がすごかったですね。
どちらも泣いてはいて、現場では僕は一貫性が保ててるのかわからなくなった瞬間があったんですけど、編集で見たときに綺麗に繋がっていたんです。現場でも、家からどのくらい歩いてきたのかとか、公園までの距離とかをすごく気にされていたので、そういうところに繊細さが宿るんだなと思いました」
―――真也役の長谷川慎さんもめちゃくちゃ振り切って嫌われ者を演じていらっしゃいますね。
佐藤「長谷川さんの初日が2話のエスカレーターのシーンだったんですけど、やっぱり不安だったみたいで。初日から悩みを結構吐露してくれたので、すごく細かく話し合った印象がありますね。本当にまじめで真摯で素直な方なんだな、と。だからこそ、記号的なモラハラ夫にしないようにつくっていきました」
川和田「真也は漫画的なキャラクターではあるんですけど、長谷川さんが持ってる柔らかさが感じられる、香帆と真也にも過去にいい時間がちゃんとあったと思えるシーンがすごくよかったですね。長谷川さんにしか出せないものが出てると思います」
多賀「真也の新婚当初の表情とか、微妙に違うんですよね。そういうのも細かく表現していただいたと思うと、本当に感謝です」