『3000万』は安達祐実と青木崇高の存在なくしては成り立たなかった

『3000万』最終話 ©NHK
『3000万』最終話 ©NHK

 そして何より、主役である安達祐実と青木崇高の存在なくしてこの作品は成り立たなかった。祐子とソラは長田の裏切りにより、悦子と末次に拘束されるが、祐子の機転で2人とも危機を脱する。

 その報告を電話で受けた義光は安堵の涙を浮かべたあと、「大丈夫、絶対なんとかなる」と心配する純一の肩を叩いた。その楽観的な性格に正直イラっとさせられたこともあったが、「なんとかなる」という言葉も今なら彼なりに色々な経験をしてきたからだと分かる。シリアスな展開においても気の抜ける物語の緩衝材としての役目を果たしつつも、人間としての深みも感じさせた青木はすごいとしか言いようがない。

 そして3000万を元の持ち主に返し、自首の道を選んだソラを送り届けた後、祐子は車で交差点に差し掛かった。「めっちゃ急いでる時に、車1台も通ってないのに、青信号になるまで歩道を渡るの、待ちます? 結局、バレなきゃいいんですよ」という舞(工藤遥)の台詞が思い起こされる。

 結局、青信号になるまで待った祐子は車をUターンさせ、どこかへ向かっていった。自首するのか、何事もなく家に帰るのか、はたまた警察に捕まった悦子が「私一人を捕まえたところで何も始まらない。また他の誰かが始めるだけ」と語る“誰か”になってしまうのか。

 彼女もまた、普通ではなかった。最初は何をするにもおどおどしていたが、意外にも大胆かつ悪知恵が働き、犯罪者としての才能を開花させていった祐子。額に青筋を立てるほどの安達の鬼気迫る演技に、私たちの方が振り回されっぱなしだった。だから、本当にこれから祐子がどうするのかは予想がつかないし、このラストが本作における最適解なのだろう。

 普通に見える人間を見くびってはいけないということか。同時に、警察のことも見くびってはいけない。

「それはこっちも同じです。追いかけ続けるだけですから。あなたが思っている以上にしつこい刑事もいるんですよ」という野崎(愛希れいか)の台詞、定年を迎えてもなお、逃げた末次や長田を追いかける奥島(野添義弘)の執念に満ちた表情は、ある種の警告だ。

 願わくば、このドラマが犯罪に手を染めようとしている人たちが留まるきっかけとなりますように。

(文・苫とり子)

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