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罪を共有したリナ(池田エライザ)と進平(斎藤工)

『海に眠るダイヤモンド』第5話 ©TBSスパークル/TBS
『海に眠るダイヤモンド』第5話 ©TBSスパークル/TBS

 そんな島民たちをよそに、完全に2人きりの世界を築いていたのがリナと進平(斎藤工)だ。もともと博多のクラブで働いていたリナは周辺の店を仕切っていたヤクザにおわれ、一緒に逃げようとしていた恋人が殺されたことを進平に打ち明ける。ともに愛する人を失ったもの同士、心を通じ合わせる2人の絆をさらに強める出来事が起きる。

 賢将と殴り合いになった小鉄(若林時英)は母親の治療代を稼ぎにきている苦労人の炭鉱員などではなく、リナの追っ手の一味だった。リナを助けに来た進平と揉み合いになり、彼が発砲した球は進平の腹部をかすめる。

 しかし、さすがと言っていいのかはわからないが、戦争を経験した進平は予想以上に肝が据わっていた。進平が撃ち返した球は小鉄の胸部に命中し、そのまま海へと落ちていく。罪を共有した2人のキスはこの後に及んでもロマンチックで、気持ちがかき乱された。

 資本主義や労働者階級に切り込んでいく社会派な部分で脚本家の野木亜紀子らしさを感じる本作だが、こういうサスペンスフルなラブストーリーはむしろ監督である塚原あゆ子の作品であることを強く感じさせる。まさに一つで二度美味しいドラマだ。

 ということは、リナが端島を去るときに抱いていた赤子は進平の子供である可能性が高く、それが今回DNA検査でいづみとの血縁関係はないことが明らかになった鉄平の父という線も考えられる。だって、進平は鉄平の兄で、その孫が鉄平に似る可能性は十分あるのだから。

 ただ気になるのは進平がなぜ、リナと一緒に端島を出なかったのかということ。進平は戦下を生き延び、今回もかすり傷で済んだ。本来ならば、誰よりも生命力が強そうなのに、どこかで彼を纏う死の匂いが不穏な空気を漂わせる。

(文・苫とり子)

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